株式会社エヌ・アンド・アイ・システムズ

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Technology

テクノロジーは私たちの日常生活の至るところへ浸透しており、様々なタスクが機械の手によって処理されている。しかし、早くて効率的とはいえ、機械はあくまでも機械。人の顔を見て直接対応してもらった方が安心感を覚えるという人は、今でも多いのではないだろうか。

今回紹介するのは、そんな機械と人とのやり取りのあり方を根本的に変える可能性を秘めたロボット、ファーハットである。あなたの目をまっすぐに見つめて話しかけてくるロボットは、もはや映画の中だけの話ではないのだ。

 
 

ファーハットが他の会話ロボットと大きく異なる理由

ファーハットは、スウェーデン王立工科大学で進められている様々なインタラクティブテクノロジー研究のプラットフォームとして開発された会話ロボットである。3Dマスクの上にコンピューター上で作成された顔が映し出され、それが一人一人の顔を認識して各個人と目を合わせ、単語の発音に合わせて唇を動かす。文章生成機能、音声認識機能、視線追跡機能などを搭載したこの高性能な対話ロボットは、過去15年間にわたってこの大学で続けられてきた第三世代口頭会話システムが具現化されたものなのだ。

 

ファーハットと他の会話ロボットとの大きな違いは、そのアイコンタクト能力にある。これによってファーハットとの対話は人間同士のコミュニケーションの本質的な特徴を兼ね備えるようになる。よって、人とファーハットとの間にそれまで人と機械との間にはなかった自然な対話が実現するのだ。

 
 

遂行されるタスクによって変わる、ロボットの好まれる外見

では、ロボットとの対話は、その目的に係わらずいつでも人間同士のものに類似していた方がいいのかというと、実はそうではない。ロボットの外見の好みについて行われた研究で、おもしろい事実が明らかになっている。

まず、投資相談のような意思決定作業に係わる場合は人間に近い顔を持ったロボットの方が好まれる傾向にある。一方で、入浴のような個人的ニーズに対応するロボットには、機械的な外見と人間のような外見との間で人々の好みが分かれたという。これは、プライベートなニーズには人間的なケアより事務的なケアを求める人がいるということである。

ファーハットのような、一人一人と目を合わせて親密なコミュニケーションをとることができるロボットが、必ずしも全てのタスクに向いているというわけではなさそうだ。人々があえて機械的なコミュニケーションを求める場合もあるのだ。

しかし同時に、ファーハットのような知性を感じさせるタイプのロボットを取り入れることで、ユーザーの安心感がぐっと増える可能性があることが示唆される。ユーザーのニーズに基づいて、使用される場面を適切に選択すれば、ファーハットの会話能力には大きな需要があるのである。

 
 

ファーハットの持つコミュニケーション技術の活用の可能性

それでは、ファーハットのように人間と近い形で他者と対話することができるロボットは、どんな場面での活用が期待されているのであろうか。

ファーハット開発者グループは、自閉症など社会性能力やコミュニケーション能力に障害を抱える子供の治療の一環や、ビデオコンファレンスの場におけるテレプレゼンスアプリケーションとしての使用などを提案している。また、マイクロソフト社やディズニーもこの技術の発展に強い関心を示しているというから、今後この技術が私たちの身近な生活にも影響を及ぼす可能性がおおいにある。

世代を超えた人々が抵抗なくロボットを自分たちの生活に迎え入れることが出来る未来も、そう遠いものではないのかもしれない。

 
 

参考:
Face to face with Sweden’s social robot
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/12/131203091501.htm

Putting a face on a robot
http://www.sciencedaily.com/releases/2013/10/131001104543.htm

 

画像:
photo credit: Rob Unreall via photopin cc

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