株式会社エヌ・アンド・アイ・システムズ

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Technology

我々はインフラ基盤の構築を行う企業なので様々な種類のシステム構築に携わります。
その中で、どんなシステムにも要素として存在するにもかかわらず十分な検討がなされないジャンルがバックアップです。
近年バックアップソリューションの充実ぶりは目を見張るほどでレプリケーションや重複排除などテーマはたくさんあるのですが、今回はデバイスについて考えてみたいと思います。

2000年代の初頭までバックアップを保存するデバイスと言えば磁気テープが主流でした。
しかし2005年のSATA、SASの標準化あたりからHDDの容量が目覚ましい伸びを見せるようになり、2013年現在では単体のHDDで4TBの物まで登場するようになると次第にテープは立ち位置を失っていきます。
HDDの大容量化ともに磁気テープも容量の増大を続けてきましたが、急激に大容量化するHDDのバックアップにテープはついていけず「高い」、「遅い」、「手間がかかる」の三拍子のレッテルと共に、バックアップ保存デバイスとしては時代遅れになっていきました。その結果2000年代後半からD2Dバックアップが主流になり現在に至ります。

事実当社が導入するバックアップシステムもすでに9割はD2DもしくはD2D2Tになっています。
そんな中、意外な事実を知りました。
今年6月の話ですが、日経新聞に磁気テープの国内生産量が3年連続で伸びているという記事が載りました。
既に我々は使わなくなっているのに伸びている?? 古くからのテープファンが多いのかなと思いながら少し調べてみたところある技術革新と共に、HDDから遅れること5年、テープの急激な大容量化と高速化が進んでいることが判明!
現在発売されているLTO6規格においては圧縮で6.25TB、転送速度は400MB/Secに達しており数年後には1巻あたり32TBまで進化する見込みです。

数値上のスペック、費用対効果を考えると磁気テープは既にHDDに並んでいると言え、遠隔保存が容易なテープは汎用性の面でもHDDを超えています。さらにバックアップの本質である「リスク対応」という面でテープはHDDにない機能を多く備えているのです。
数年前にホスティング会社がオペレーションミスにより大量のユーザデータを喪失した事件がありました。コマンド実行ミスにより本番とバックアップの「HDD」に保存されたデータが消されたのです。もしもバックアップデバイスが磁気テープであったらデータ復旧は可能であったはずです。運用コマンドでテープライブラリのデータを全喪失させることなど無いのですから・・

さて、磁気テープが高品質化したことは分かったのですが、磁気テープの国内生産量が伸びている割に身近で増えている印象はありません。件の記事によれば性能が再評価され、海外での使用量が大幅に増大しているのですが、国内消費は低迷しているとの事でした。

実は、磁気テープと言うのは音楽、映像、データ保存を含めて生産している国は日本しかありません。
日本企業が技術革新し、性能を向上させ、生産を一手に担っている磁気テープは日本国内でのみ十分に評価されていないという少し悲しい事実があるのです。

「テープは時代遅れ、これからはHDDに保存する時代」と言われたのは4~5年前、クラウドソリューションにばかり目が行きがちですが、ハードウェアの技術革新も忘れずにチェックしなければと襟を正した次第です。

(高橋)

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