マックがクリエイターだけでなくエンジニアを魅了する理由
パソコンが登場した1977年当時、人とコンピュータを仲介するインターフェースは文字で行われていた。これは、それ以前の大型・汎用コンピュータと同様で、キャラクタユーザーインターフェース(CUI)と呼ばれる。文字に色を付けたり、地色を敷いても基本的には文字単位で命令することに変わりない。
CUIからGUIへ
だが、文字だけで操作するのは分かりにくい。そこで絵と文字を組み合わせたグラフィカルユーザーインターフェース(GUI) が登場した。
最初のGUIは73年に米・カリフォルニア州のゼロックスのパロアルト研究所で考案された「Alto」というコンピュータに搭載された。「Alto」はアイコンやマウスなどユーザーインタフェースの点で、今日のパソコンの原型となったマシンである。
その後、「Alto」はアップルのスティーブ・ジョブズに大きな影響を与え、「リサ」や「マッキントッシュ」(Mac)を生み出すきっかけとなった。これらアップルの製品は、当時としては画期的で、主にデザイナーやクリエイターなどの絶大な信認を得ていく。
ソフト開発機からオフィスマシンへ
一方、Windows、それ以前のMS-DOSは、もとはBASICを中心とした”ソフト屋さん”のマシンであり、1983年、IBMがPCに参入するにあたってマイクロソフトから調達したもの。後には”オフィスマシン”を謳うことになる。
つまり、MacとWindowsはその誕生期からクリエイターvsエンジニアという利用者プロフィールが出来上がっていた。
OSのマーケットシェア
では現状はどうなのか?
アップルの強みはその後、モバイル分野でiPhonやiPadが加わったことだ。
サンフランシスコに本部を置くクリエィティブエージェンシーbtraxのレポートによると、
パソコンとモバイル合計のOS別シェアは、iOSが61%、Androidが24%、その他20%となっている。しかしPCのみのシェアではWindowsが92%、Mac7%、Linux1%という状況だ。
「サンフランシスコでは学生や社会人などほとんどの人がMacを利用しているような感覚に陥る。市内のカフェに行ってもMacBook Airを使っている人が目立つ。スタートアップ系の人やデザイナー、エンジニアなどのクリエイター系の人々から絶大な支持を集めていることも事実だ。」
「しかし、サンフランシスコやシリコンバレー周辺でも大企業はWindowsを採用している」とbtraxは感想を述べている。
定型業務のWindows、非定型業務のMac
他方、開発環境について「Macでは、現在最も普及している言語であるJavaの開発はもちろん、多数のプログラミング言語での開発が可能です。また、現在最も優秀なスマートフォンプラットフォームであるiPhoneやタブレットiPad用のアプリが開発できるのもMacだけです」という声もある(http://blog.lunarians.net/pc_it/990.htm)。
Windowsは当初はソフト開発に使われてきたが、現在では、定型業務はWindowsで、開発やクリエイティブワークはMacでという棲み分けになっているといえる。Surface pro 2で巻き返しをはかるMicrosoftが、今後どんな展開を見せるか要注目だ。