株式会社エヌ・アンド・アイ・システムズ

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Technology

機械と機械が通信ネットワークを介して互いに情報を交換することで自律的に高度な制御や動作を行うM2M(Mobile to Machine)市場が拡大している。

 

2013年の市場規模は2377億円だが、年率30~50%近くに成長を示し、2018年には1兆円規模になると野村総合研究所は予測する。
同研究所の「ITナビゲータ2014版」に沿って、M2M市場の動向を見てみよう。

 

セキュリティ領域が4割を占める

 

国内のM2M市場は2012年度の時点ではネットワークに接続された監視カメラシステム、
およびホームセキュリティシステムを中心としたセキュリティ領域が約1400億円の市場の4割を占めていた。
また、デジタルサイネージ(看板やポスターを電子化した装置)および
POSハンディターミナル(店舗で商品を販売するごとに商品の販売情報を記録するための
携帯できる小型の入力装置)を中心とした流通領域も、市場の2割強と大きな存在感を示した。

 

今後は、スマートグリッド(火力、原子力など電力の供給側と家庭やビルなどの電力需要側との間で
電力の需給情報のほかさまざまな情報の交換をするための次世代電力ネットワーク)を中心とした
エネルギーの領域の急速な拡大に牽引され、2018年度には
国内のM2M市場は1兆円を超える規模になると予想されている。

 

2018年時点での成長領域

 

それでは、2018年にはどのような領域が拡大しているだろうか?
「ITナビゲータ2014版」では、エネルギー領域が7000億円以上の規模となり、市場に占める割合は6割以上になると予測している。
エネルギー以外のセキュリティ(監視カメラ、ホームセキュリティ)、自動車、流通の領域では、今後5年間で年率10%程度の堅調な成長が期待されている。

 

ユーザーの障壁

 

ユーザーがM2Mを本格的に利用するためには次の3つの障壁が存在していると考えられる。

 

1.ビジネスモデルの開発:製品のデジタル化が進み、多くの企業は顧客の事業所などに設置したセンサーなどから
製品の稼働情報を取得しやすい状況になっている。
しかし、その情報を何に、どのように用いて収益に還元していくかというビジネスモデルの構築に困難を抱えているケースが多い。

 

2.M2Mの全社的活用:M2Mで取得されたデータは情報システム部門や品質保証部門の中に閉じた形で蓄積されがちである。
M2Mで取得したデータを最大限活用し、企業にとって有益な情報を抽出するには、収集したデータの分析・活用を情報システム部門や品質保証部門の中だけでなく、マーケティングや保守・メンテナンス部門など全社的な取り組みへと昇華させる必要がある。

 

3.データを情報へと昇華させる解析力:ビッグデータの普及で最近、注目職種となったデータサイエンティストはこれまで企業として特に必要としてこなかった人材だ。
そのため、M2Mで取得した大量のデータを価値ある情報へと昇華させる解析力を持った人材を社内に抱えていないケースが多い。

 

まとめ

 

M2Mは従来、収集したくてもできなかった多種の有用なデータを集めることが可能になった。
次は収集したデータをどのように活用していくかだ。
そのためには、企業内各部門の部分最適にとどまることなく、広く企業経営全般の視点から何が必要か見通しを立てなければならない。
その上で、M2Mのデータを本格的にビジネスに活用していくためには障壁をひとつひとつ乗り越えていく必要がある。

 

【参考】:「ITナビゲーター2014年版」(野村総合研究所、東洋経済新報社刊)

 

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